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アーティストマネジメントの組織と計画設定 / 対談 with 黒岩利之 # 2

平良 真人( @TylerMasato ) の対談シリーズ。
引き続きスマイルカンパニーの代表取締役社長の黒岩利之さんにお話を伺います。

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黒岩利之(くろいわとしゆき)
ソニーミュージック・エンタテインメントに入社後 デフスターレコーズ の立ち上げに参加。
2003年以降はワーナーミュージック・ジャパンの宣伝部長として活躍。
2017年 株式会社スマイルカンパニーの代表取締役社長に就任。

前回はレコード会社とプロダクションの違いやアーティストと契約する際の覚悟や大事にしていることをお伺いました。( # 1 ) 
今回は社員マネジメントやビジネス計画の立て方について伺います。

社員マネジメントとビジネスプラン

平良真人(以下、平良):
マネジメント会社の社員マネジメントがとても気になるのですが、信じたアーティストがスムーズに進むとは限らず、アーティスト側のモチベーションの上下もある中で、スタッフ側のマネジメントも難しい側面は多いのかなと思うのですが特に意識されていることはありますか?

黒岩利之氏(以下、黒岩氏):
担当者を孤独にさせないようには意識しています。
アーティストを信じる覚悟を持つとどうしてもアーティストと二人三脚になりすぎて情報が共有できない状況になりがちなので、そうならない工夫をしています。

具体的にはいくつかの方法があるのですが、何人かサポートを入れてチーム体制をとったり、プロジェクトの意思決定の場に僕が介入して一緒にジャッジメントしたりと、それぞれのアーティストの特性やマネージャーの関わり方を見ながらサポート体制を作っています。

色んな景色を見てもらうことで、担当アーティストの幅を広げるような状態にしたいと思っています。
必ず 1 番力を入れているアーティストとそれ以外のプロジェクトに関わるようにしてもらっていて、孤独にならないように注意しています。

平良:
なるほど〜!縦の連携だけじゃなくて横の連携も大切にされているんですね。
時間軸の考え方も気になる点なのですが、ビジネスモデルとして、年間でPLを引いて計画を立て実行していくことが難しい世界なのかなと思っていて。どのように計画を立てて進めているのかなと。

黒岩氏:
だいたい 3 年単位で見ていることが多く、マネージャーと面談しながらそれぞれのアーテイスト毎に実現可能な 3 年間の育成計画を立てるようにしています。

新たに契約した新人であれば目先の利益よりも先行投資の覚悟を持って取り組む必要がありますし、活動も人気もある程度安定しているアーティストであれば、次の展開を見据えた投資と回収のビジネススキームを作っていく形になります。
アーティストの歩みによってPL重視で利益が出るよう管理する場合もあれば、新人アーティストなどは売れるまでの投資と位置付けて投資に振り切る 2  通りで運営しています。

平良:ベンチャーキャピタリストみたいな観点なのですね。立ち上がったばかりのベンチャー企業の投資も人に投資するとよく聞きますよね。

黒岩氏:
そうですね。とても近いと思います。

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感性とロジックのバランス感覚が重要

黒岩氏:
投資に関して言うと、マネージャーの感性やアーティスト育成能力・目利き能力を信じて投資していく部分もあるのですが、実はその感覚はどんどん麻痺してしまったりズレていく可能性も高いです。
今年ヒットを出したディレクターが 2 年後も同じヒットを出せるかと言うとそうとは限らない。感性に頼って常にヒットを生み出すのはなかなか大変なんですよね。
だからこそ「 感覚で売れると思うんです!」と熱弁されるよりも、その感覚を言語化して説得できる方が圧倒的に信頼しやすいですし。もっと言うと投資と回収のビジネス計画を考える必要性もあると思うので、”売れる”の根拠としてヒットのロジックや哲学を持っているかは大事にしたいと考えています。

平良:バランスがとても大事なのですね。なんとなくエンターテインメント業界は感覚的な要素が強いかと思い込んでいたのですが、それだけでは長く続けられないんですね。

黒岩氏:
そうですね。なので、スペシャリストとジェネラリストがいるとしたら、チームを組みバランスを取るようにしています。
ただスペシャリストの人にもジェネラリストの部分は求めるし、ジェネラリストの人にもスペシャリストの部分も求めます。

特に感性で言うと若い感性は大事だと思っていて、レコード会社は最近どんどん老朽化して平均年齢が上がっており、なかなか若手のディレクターが活躍できる環境が無くなっています。20 代後半から 30 代のトレンドをリアルに理解できる人が居ない状態は危険だと思っていて、スマイルカンパニーではなるべく若い人を多く採用するように心がけてはいます。
経験の無い若い人を 1 から育てる苦労はあるのですが、チーフクラスの人間が育てることによる気付きもあるかなと、そんなことを意識しながら組織を作っています。

平良:
山下達郎さんや竹内まりやさんのように既に一定のファンが居て、ファンの方々が既存のイメージを大切にされているアーティストの方はどうマネジメントしていますか?

黒岩氏:
2 人はまた特殊なアプローチをしていて、特に達郎さんはアナログな手法でファンクラブをやっているのですが、人数をこれ以上増やさない方針を取っているんです。

平良:プレミア感があるんですね。

黒岩氏:
ファンとの関係性で言うと、ファンからの問い合わせが直接会社に電話でかかってきて、長年担当している信頼関係のある社員がファンの声を吸い上げアーティストサイドに還元するシステムが結果的に構築されています。
スタッフが繊細にリサーチしたお客様の声を基にファンコミュニティをどう作っていくかをダイレクトリサーチしている感覚です。

先日の山下達郎のコンサートではいくつかのアクシデントがあり何本か振替公演をしたりと、当初の予定が変化を余儀なくされたことがあったのですが、最終公演が追加で決定した際にご本人から「 ダイレクトメールを出そう 」と指示があり、その結果、ファンからの直接的な反響があって良い施策になりました。
そういう意味で言うと、アーティスト発信がありつつ、スタッフを通してファンからの情報を得ることでファンとのコミュニケーションが成立しており、その信用の積み重ねがブランディングになっているなと感じています。

平良:経験として溜まって更にアップデートされるイメージなんですね。

( つづく

< 過去の記事 >
アーティストとの関わり方   黒岩利之 対談 # 1


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