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ロッキングオンジャパン 編集長・小栁大輔氏が THECOO株式会社 代表・平良真人へ切り込む!                                                          - 第二弾:This Charming Man -

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ーーー  前にあったお父様の言葉を借りるならば「原点を見つける瞬間」というのは、人生で常に作っていきたい瞬間ということ?

それについては悩んでいましたね。悩んでいたというか、僕はすごく言語化が苦手なので、説明がつかなくて悩んでました。。。大学生頃になって初めて、説明できないことが沢山あって、上手に説明できる人が周りにいたんです。どうやったらそうふうになれるんだろう?ってもがいていました。「原点」を説明できないから、ちゃんとロジカルに物事を説明できないんです。初めて大学で全員がゼミに入らないといけなくなった時に、その時に卒業論文が書けないんです。社会人になってからも論理的に話が出来ないと、お客さんや同僚と会話がうまくいかないことがありました。なので、とても苦労しましたね。原点をちゃんと説明できないから、なぜこうなのかっていうことが説明できないんですよね。頭の中では原点はあるんですけど、xとyとzを言語化できないんですよ。 

ーーー なるほど。

それが出来るようになりたくてそれまで小説とかを読んでいたんですけどパサっと辞めて、ビジネス本ばっか読むようになりました。例えば、ロジカルシンキングの本とかw

ーーー それは大学生の頃?

いや社会人になってからです。一時期MBAに行こうと思って、MBAの試験ってロジカルシンキング(正確にはクリティカルシンキング)のテスト項目があるんですよ。それをもうめちゃくちゃ勉強したし、スキルとしてどう勉強するのかっていうのと、人並みに出来るのはどうしたらいいんだっていうにもがいてました。誰かに教えてもらった導いてもらった記憶がなくそれ、一人で苦しんでいた気がします。

ーーー I Am the Resurrection の経験というのはどちらかというと、なんというのかな…大袈裟に言うと、知らない方が楽だったのかもしれないですよね。

そうかもしれません。すごく五感で感じるものをめちゃくちゃ大事にしているんだけど、それを全く説明できなかった。で、本当は説明できないものもあるんじゃないかと思っているんですよね。根本的には。説明なんてしなくて良いと言うか。だけど説明しないと世の中は渡り合えないんだなって。意見も言えない。世の中はそれを求めている。20代の頃はそれにずっと苦しめられていましたね。でも苦しいけど、それもやらないといけないです。さっき言った難しいという意味では、素晴らしい経験なんで、楽しかったんでしょうね。

ーーー 僕は今の話は平良さんの生き方で肝だなぁと思っていて、要するにジレンマがあるわけですよね。感動する自分に出会えたのは嬉しい。但しそれを説明しなくてはいけないということが待っている。どこから「いや説明なんてできなくていいんだよ、感動はさ」と思っている自分もいる。このジレンマの統合ですよね。

すごくよく言うんですけど「言葉に対する不信感が強い」んですよね。私がさっき言った「困難って言葉って僕の中ではdifficultなんですよ」とか、本当に僕の言いたいことは伝わっていないんだろうなって言うのが前提に立っているんですよ。多分伝わらないよなって思っちゃっている。それぞれ経験しているものが違うんだけど、お互いになんとなく共通項を見つけないと社会成り立たない。それを歩み寄りって言って、時間をかけれて分かり合えれば良いのかもしれません。ただ言葉だけの…もっと言うと書き言葉だけでの会話、メールだけでの会話とかに対しての不信感。特に真面目な会話とか難しい議論をしようとする時ほど、すごくありますね。

ーーー それはもどかしい感覚と同時に、困難なdifficultなものに?

difficult…だからこそ違う方法で伝えたい。だから音楽とか映画とかの表現の方法が好きなんです。アートまでは行かないけど、エンターテインメントが好きなんだろうなって思いますね。音楽なんて何を言っている感情か分からなかったりするし、そもそも洋楽なんて何言っているか分からなかった。でもこんなこと言っているんじゃないかな~と妄想してました。話逸れちゃうかもしれませんけど、一番衝撃だったのはThe Smiths「This Charming Man」を聞いた時です。「なんて美しいメロディなんだ」あのギターのリフがなった瞬間に思ったわけですよ。実際に真似しようと思って何回も練習した。で、あとで英語がわかるようになって、歌詞の内容がおじさんの少年愛の話だって知った時にめちゃくちゃショックだったんですよね。

ーーー なるほどね、そういう世界だったのか!と。

美しい恋愛の話を、百合の花を振りながらモリッシーが歌っていると思っていたんですよ。全然違うじゃんみたいな。あ、僕の感じているものを全然違うこと言っていたんだってすごい衝撃だったんですよ。だから余計に混乱しました。何が言いたかったんだろう?って。音から入ったんで。

ーーー そうですよね、ギターのチャチャチャチャチャ♩って入っていますもんね。

だから言葉に対する不信感というのは余計に増しましたよね。

ーーー それを不信感という言葉で表現されるんですね。

僕は「不信感」って言いますね。言葉って世の中を簡略化しているもの。すごい発明なんですけど、全員の最大公約数を切り取っているものじゃないですか。それを常識とか言ったりするのかもしれないし。そこの最大公約数を切り取って良いのかな~みたいな。

ーーー 中央値みたいなものですもんね。

僕の持っているリンゴと〇〇さんの持っているリンゴは絶対違うはずで、小分けにして切って食べる経験と丸ごと食べる経験あ全然違うじゃないですか。それこそリンゴってものに対して「なんか赤くて甘い果物」 みたいな定義で良いのかな?みたいな。しかもそれが英語になるとappleになるわけ。余計分からなくなりますよね。まぁだからこそ多様性があって良いのかっていう捉え方もあるけど、一方でコミュニケーションに対する過度な不信感はあります。中央値が皆ずれてんじゃないの~みたいな。

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ーーー きっと平良さんにとって感動と言うのはものすごく絶対的なもので、相対的なものではないんですよね。言葉でのコミュニケーション・共有って、物事を相対化すると言うか、対象化すると言うことじゃないですか。その対象化することの疑いと言うか。そうすることで本質が変わってしまうことに対してのある種の恐れというか。そういうものがありますよね。

きっとありますね。だからなんか変な話ですけど、会社でもそうでしたね。会社のミッション・ビジョン…これ本当に伝わってんのかなって本当に思ってました。でもこれっていろんな方法を試したりしてます。そして、言い続けるしかないんだろうなって思ってます。覚悟っていうのか、伝わらないって諦めた上での覚悟なのかわからないですが、やり続けてます。

ーーーそこですよね。でもきっとどこかで諦めというかなんというか、そういう感覚がどこかにあったんだと思うんですよね。それは先ほどお話してもらったような「これはロジカルシンキングを学ぶほかどうしようもないぞ」ってなった時。

そうですね!だから先ほどお話したように「これは出来ないとダメだ」って。

ーーー それは当時青年だった平良さんにとって、覚悟のいることだったんですか?やるしかない!って。

あんまりネガティブな感じではなかったですね。やると決めたらやっていくし、それができるようになることがかっこいいとも思いました。会議の時に「今日のポイントは3つです」みたいな説明する人かっこいいなって思ってましたw。そして、実はポイント2つしかないじゃん!みたいなこと多々ありました。しかし、挫けずに人真似から始め、真似続けたらちょっとずつ出来るようになるじゃないですか。

ーーー それって、自分の感じたあの感動をなるべく正確に伝える術が備わってくるわけですよね。それは単純に喜びだったのか、あ~こういうことじゃないんだけど、どんどん出来るようになっていくな~っていう感覚があったのか、どういう感じだったんですか?

必ず思った通りに伝わらないことが多発するわけです。もちろん感情的に説明していることの方が多いんで当たり前なんです。だから失敗を通して「ダメなんだなこれじゃ」って学びがあった感じです。ちゃんと相手に思っていることを伝えないと、共通認識が出来ない。失敗がたくさんあったから、その場合不快な思いをさせてしまう場合もある。なので、これ直さなきゃな~みたいなのは常にありましたね。

ーーー 僕インタビューの時って、「この人いつ大人になったんだろう」っていうのを探すんですよ。別に二十歳になったから大人になったわけではなくて、別に40歳でも大人になってないなって人はいますし。或いは15歳でも大人だなって人もいますし。その大人になる瞬間というものに興味があるんですね。大人になった瞬間というのは要するに、自分を対象化した瞬間。自分が絶対的存在ではなくなったところで大人になると。インタビューしていると、その瞬間を探り当てた時一気にその人のことがわかるんです。今一つしつこく伺ったのはそこなんですよね。

そういうと対象化って言い方正しいのか分からないけど、作家では島田雅彦が大好きなんです。その島田雅彦の『彼岸先生』という作品がすごく好きで。あの人の文体は全体的にパロディと言われててて、音楽でいうとフリッパーズギターですね。なんで、もちろんフリッパーズギターも大好きです。

ーーー なるほど、サンプリングなんですね。

彼らは「良き」パロディじゃないですか。仮に「身体」を操っているものがあるとして、その身体を操っているつもりの「人格」をそれぞれ切り離した方が生きやすいんだなって言うことを彼岸先生読んだ時に思ったんです。一体化しちゃうと苦痛でしかなく。それが一番最初に対象化した時ってイメージはありますね。だからコミュニケーションって人格から発しているから苦痛なんであって、仮に分からないけどもう一個同じような人格がいて、その人が発していると思えば、「平良」という身体を使ってコミュニケーションしているだけだったら、それは伝わらなくて当たり前じゃん?みたいな。こんなことを大学生の時に思いましたね。

ーーー平良さんのパーソナリティの一つとして面白いと思うのは、瞬間的にメタになりますよね。悩んでいる自分をメタに見るというか。だからプレゼンを上手くならなきゃっていう自分を瞬間的にメタで見て、でも楽しんでいるじゃん、このdifficultをっていうメタの視線っていうのが。

そうですね。そこはもしかしたら絶対的なものに委ねたくなかったんで、だから僕は何も信じていないし、そこを常に考えてきたんでしょうね。そういう事象を自分なりに解釈したのがその方法だったんでしょう。

ーーー すごく面白いですね。だから原点を探しなさいっていうのは、やっぱり「絶対値を探しなさい」っていう事だと思うんですよね。っていう生き方と、どこかで相対化しないといけないというジレンマ。だから常にジレンマを解消させながら生きている人と言ってもいい。それは皆そうかもしれないけど。かなりジレンマの構造が顕在化している人という印象を受けますね。


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