熱狂と距離感_1

アイドルとは距離感のゲーム / 対談 with 吉田尚記 # 1

THECOO 代表 平良 真人( @TylerMasato ) の対談シリーズ。
今回のお相手はニッポン放送アナウンサーの吉田尚記さん。

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<プロフィール>
吉田 尚記 (よしだ ひさのり) ( @yoshidahisanori )
ニッポン放送アナウンサー
現在は毎週月曜日から木曜日深夜24時から放送中のワイド番組「 ミューコミプラス 」を担当中。
放送業界で一二を争う"オタク"としても有名で、ニコ生やテレビ番組への出演、マンガ大賞の発起など、ラジオにとどまらない活動を行っている。
著書『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』(太田出版)は累計13万部を突破している。

放送業界屈指のオタクとしても有名な吉田さん。14 歳から現在に至るまでアニメやアイドルの何が吉田さんをこれほどまで熱狂させているのか。その魅力に迫ります。

アニメやゲームを卒業する理由がわからない

平良真人( 以下、平良):
吉田さんが 14 歳からずっとアニメやアイドルにハマっている理由ってなんだったんですか?何に魅了され続けているのかなと…

吉田尚記氏( 以下、吉田氏 ):
子どもの頃ってみんな漫画も読むし、少年ジャンプもコロコロコミックも買うじゃないですか。みんなファミコンもやる。僕も同じで子供の頃の遊びがアニメやゲームで、その流れがただずっと続いているだけで。どちらかと言うとみんなが勝手に卒業しちゃったなって感覚なんですよね。寧ろ僕にはその卒業する理由がわからないし、だから40歳の今でも卒業していないだけでハマっていると言う感覚もあまり無いですね。

平良:
卒業していないだけって面白いですね。確かにそう言われればそうなのかもしれないですね。因みに、その頃の熱量と今も熱量は変わっていないんですか?

吉田氏:今でも好きな漫画家さんの新刊が出るとテンション上がりますね。

平良:アイドルも同じようなはじまりだったんですか?

吉田氏:
そうですね。アイドルは17歳からで、アニメや漫画好きなグループの中の 1 人に「  東京パフォーマンスドール( 以下、TPD )がめちゃくちゃ面白い!  」と薦めらて、まんまとハマった感じでした。

平良:僕もちょうどその頃大学生だったので、放送研究会の部長が大好きでしたね。ずっと追いかけていました。

吉田氏:多分その方と現場かぶっていると思います。

平良:そうですよね、きっと!(笑)。

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アイドルの面白さは釣りと同じ!?

平良:アイドルの面白さってどこにあるんですか?

吉田氏:
距離感ですかね。 ” アイドルとは距離感のゲームだ ” という言葉があって本当にそうだなと思っています。
例えば、TPDだとコンサートはあるけど、握手会とかはやっていない時代のアイドルなんですよ。だけど、目撃情報がちらほらあって「 新宿に行ったら篠原涼子がいたぜ! 」「 俺も見たよ 」「 まじか!? 」みたいな、何らかの情報の断片があって、それを合わせて見ることの面白さがめちゃくちゃあったんですよね。存在するかしないかわからない面白さ。

二次元のキャラクターは 100 %存在しないじゃないですか。
アイドルってメディアの中の人だったものが、実在の人物としてメディアの外にもいるぞという、そのあわいが面白かったのかなと。コンサートでもちょっと早めに行って待っていると、会場入り瞬間に出会えたりするみたいなこともありますし。
やっぱり未だに新宿駅の構内で穴井夕子さんに握手してもらったことを覚えていますからね。

平良:やっぱり少しでも近くなりたいという欲求があるんですか?

吉田氏:釣りに近いかもしれないですね。

平良:釣り?

吉田氏:
釣れないとわかっていても釣りに行ってしまう。その感覚に近いです。

例えば、渋谷・新宿どちらに行っても良い用事があった時に、新宿でレッスンしているらしい情報があれば新宿に行くんですよ。もしかしたら…と思って。そういう事を繰り返していると、本当に会える瞬間があるんですよね。ほとんどは空振りなんですけど。

捕れないとわかっていながらも釣りに行って、まさか釣れちゃうことがあるから面白くて、その瞬間に出会いたくてついついまた行っちゃうみたいな感じですよね。

だから、TPDがもし 1 人のアイドルだったらこんなに追っかけていないと思いますね。十数人居たから会える確率も上がって、余計に面白かったというのもあります。
ネットなどのメディアが少ない時代でもアイドルの面白さの原型は同じだったという気はすごくしますね。

平良:その距離感の違いが各グループごとの特色となって表れているんですかね?

吉田氏:まさにそうですね。AKB48 は一気に近づけましたよね。

平良:握手券付けちゃいましたからね。

吉田氏:
握手券の話で言うと、ブレイク前だった AKB48 の移籍先を探していた時に、唯一全メンバーの名前を言えた人がいて、その人のおかげで AKB48 のレコードレーベルはキングレコードに決まったという逸話があるんですね。
その人が AKB48 の音楽ディレクターでもある湯浅順司さんなんですけど、湯浅さんはもともとアイドル好きで「 魔法先生ネギま! 」の音楽も担当して行く中で、熱量を生み出す為には接触が強いことをよくわかっていた。その上で今の坂道に至るまでの 15 年のアイドル潮流を作ったんです。
だから、握手会のシステムの大本は実は「 魔法先生ネギま !」にあったんですよね。

平良:そんな繋がりがあったんですね!

吉田氏:
僕は「 魔法先生ネギま! 」のイベントの司会とかをしていたこともあって知ったことなのですけど。

平良:もう吉田さんは仕事とプライベートの境目があまり無い状態ですよね?

吉田氏:全然無いですね。

平良:
そうすると今は直接会える機会も多いと思うんですけど、アイドルを 1 番熱狂的に楽しめる距離ってどれくらいなんですか?
やっぱり 17 歳の頃の釣りのような感覚がずっと続いた方が楽しめているんですかね?

吉田氏:
絶対そうだと思いますよ。

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アイドルの原理原則は一休さんにある

平良:僕自身はあまりアイドルを好きになった経験が無くて、アイドルの魅力がイマイチわかっていないところがあるんですよね…

吉田氏:
この間『 ジャニーズは努力が9割 』の著者の霜田さんと偶然お会いするチャンスがあって、そこで意気投合した考え方としては、アイドルは昔で言うなら、僧侶なんですよ。

平良:僧侶ですか!!!?

吉田氏:
修業って目的がよく分からないじゃないですか。何の目的があって 7 日間断食するの?とか意味分からないんですよ。それと一緒で、アイドルが何の為に売れようとするのか、正直必然的な理由なんてないです。
でも本人はそこに血道を上げて頑張っている。その人たちを推すことによって、自分が過ごしている毎日が色んな角度で潤うんですね。それがアイドルだと思っています。

だから、自分の人生が大変な人が共感するパターンもあれば、平坦な人生に飽きている人が、代わりに頑張っている人を応援することで刺激を得るパターンもある。
漫画『 ちはやふる 』の中に「 頑張れって言われるよりも頑張ってそこにいてくれることがありがたい 」という台詞があるんですけど、まさにアイドルはそういうことなんですよ。

平良:なるほど!原理、原則は僧侶にあるんですね(笑)。
色んな頑張る形がある中で吉田さんが個人的に共感するパターンとかもあるんですか?

吉田氏:
そうですねー。心理学者の河合隼雄さんが「 生きてるだけで大仕事 」って言っていましたけど、本当にその通りで、究極、推しはもう生きてりゃそれでいいんですけどね。

やっぱりハマるアイドルはその時々で違うなって思います。
毎日朝 5 時からSHOWROOMやっていますみたいな人もいれば、一見頑張っているように見えないけど、近づけば本人なりに頑張っているのが分かるみたいな子もいて、どっちを好きになるかは本当に時々で違う。

これがビジネスだったら条件に合わせて篩に掛け、どっちか決めなきゃいけないのかもしれませんが、それをやらなくていい、その都度選り好みしていいからアイドルなのかなって思っています。

つづく


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