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ロッキングオンジャパン 編集長・小栁大輔氏が THECOO株式会社 代表・平良真人へ切り込む!                             -第三弾:ROCKIN' ON JAPAN -

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ーーー でも話していて思っちゃうんですけど、 I Am the Resurrection を聞いて、そこまで戻っちゃうますけど、鳥肌がたった訳ですよね。そこから若い時分だったと思うんで、大丈夫ですよね?

話は戻って全然大丈夫です。

ーーー 僕はある種その感動を貪るように求めていく、そういうターンに入るんじゃないかと思うんですけど、その辺の一気に開けたというか。あー、これ気持ちい!これ好きだ!みたいな。そこで1つ強烈な自我が芽生えるというか。そういう感覚はあったんですか?

以降ですか?

ーーー 以降です。

中学の時は爆音で音楽聞いている時が本当に幸せでしたね。もうありとあらゆるバンドをずっと聞いていました。社会人になってからはそういうのはあまりなかったんですよ。働きながらも「仕事なんてちゃんとやったって仕方ないし」って、楽して儲ければいいじゃんていうのがありました。だから若い頃は仕事をすることがすごく苦痛でした。新卒で入った伊藤忠は入るのも難しかったですけど、自分にとっては入ってからが難しすぎました。なんか毎日ビクビクしていた感じがします。難しすぎて楽しくなかった。何していいか分からないし、毎日怒られているし。配属されてすぐに正社員の事務職の女性の僕よりも年上で50歳近くの女性がついたんですよ。

ーーー トレーナーという事?

いや、コンビですね。当たり前ですが、僕より圧倒的に仕事が出来るんですよ。なのに課長に「この人を完全にマネージメントできるようになれ」って言われるんですよ。

ーーー 新卒で?

もう訳わからなかったですね。でも2年目とか3年目の先輩はできているんですよ。

ーーー 出来るようになっているんですね。

なっているんですよ。だからその時にさっき言った色んなものが足りないんだなって気付き始めて、「間違えて入っちゃったな」って心から思いました。伊藤忠商事の時はずっとそれがありましたね。なんとかやり過ごさなきゃって。多分この会社では偉くなれないだろうなって思ってました。

ーーー 何が足りないって思ったんですか?

総合的な人間力です。抽象的ですけど、圧倒的に人間力が足りない。同期や先輩に勝っているものが何もないって思いましたね。この人達に何も勝てないっていう自己評価をしてました。しかし、1つだけ分からなかったのは僕は何故かお客さんには好かれたんですよ。それがよく分からなくて、自分はあまり好かれていないと思っていたんですよ。ある時先輩から「お前は好かれてるな」って言われても、何言ってんだろうなって思って、辛かったですね。で、ある時インターネットっていうものに理由は分からないんですが、光が見えたんです。その時、その世界に行こうと心を決め、伊藤忠を辞めてからで「仕事がめちゃ楽しい!」と思いはじめました。

ーーー へーーー!

自主的に考えて仕事をしたら、結果が出て周りが動くっていう。これは失礼な話ですけど、伊藤忠の時の周りが凄すぎて、転職したら入ったら伊藤忠の同僚や先輩ほどすごい人だらけじゃないなぁって感じました。例えば、ずーーっとサッカー日本代表の試合に出れないで補欠にいて、Jリーグに戻ったら活躍出来てる感じなのかもしれないです。とはいえば、転職した会社ではすごい一生懸命、熱中して仕事しました。何よりも楽しかったから。そこからですね「仕事楽しいな」って思うようになったのは。

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ーーー 平良さんって感動する自分、プリミティブな瞬間に出会える自分?出会える流れというものをすごく信頼しているし。きっと1社目で働かれていた時って、きっとプリミティブが湧かないというか。合いようがないというか。

そうですね、なかったですね。伊藤忠の同期や先輩のことはすごく尊敬していますし、大好きです。だけども、いまだに外苑前のビルを見るとおののきますね。

ーーー へー。なんだか睥睨してるように見えますよね。

そうですね、あんなにスポーツの聖地のところになんでこんなビルが建っているんだろうなって思いますね。

ーーー 確かに。全く話が変わっちゃうんですけど、平手友梨奈の写真撮ったの伊藤忠の前なんですよ。

えっ!

ーーー それはたまたま伊藤忠の前なんじゃなくて、あの道歩く時ってなんかあるんですよね。僕は伊藤忠関係ないんですけど。 

緑がいっぱいあってオフィス街じゃないんですよ。

ーーー そうなんですよ!突然あるんですよね。あのビルって。そこに何か不均衡があるんだけど、あの街はあの街で成立していて、だから謎のスポットなんですよあそこって。理屈がないというか。そこに平手を立たせるってなんか僕の中でピンと来たんでしょうね。なんか、この存在感とこの闇とどっちが勝つんだみたいな。そういうのがあって、だから「絶対伊藤忠映してくれ」って、後ろにボケてでもいいから映してって言って。

どっちですか?プラザの方から撮ったんですか?

ーーー 246を跨いだガードレールに腰掛けて。伊藤忠に向かって撮ったんです。

じゃぁ、青山霊園側ですね。

ーーー そうです。撮って途中に伊藤忠見えてみたいな。なんか「もうここじゃなきゃダメだ!」みたいなのがすごくあって。なんか不思議な建物じゃないですか。突然登場する謎の。そんなそれは余談でしたけど。プリミティブな感動を求める自分と仕事をする自分って、全く別なんですか?それとも繋がっているんですか?

繋がっていますね。そこの体験があったんで、自分で考えて自分で思うような結果が出て、もっと言うと色んな人とゴールを共有して同じように動いた時っていうのは、こんなに楽しいんだって思った時の体験は繋がってます。別に給料が増えるとかじゃなくても、仕事って楽しいな~って思ったのが、転職してしばらくしてからです。どうやったらもっと楽しいがあるんだろう?仕事って楽しいから、もっと違う楽しいを探しはじめたのはそこからです。だからキャリアに共通点がないのは、新しい事やって色んな人を絡めてやって行ったらどんどん楽しくなって来た結果です。

ーーー その楽しいが帰って来た訳ですよね。プリミティブが帰って来た訳ですよね。その時は、やはり俺はこういう人間なんだみたいな気付きみたいなもの、フィット感みたいなものは?

ありますあります。さっき言ったdifficult、難しい事をやるっていう。あと新しい気付きとしては、色んな人と一緒にやる。人と一緒にやるっていうのは、難しくて楽しいんだなって。

ーーー そこから、伝えるスキルというか。伝えないといけないんだ、感動するだけじゃなくて人に伝えなくちゃダメなんだっていうのはそこから出て来た感じ?

そこから出て来ましたね。特に外資系だったりすると、英語ってすごくロジカルに喋る言語だったりするから、それを組み立てて伝えないと痛感しましたし、改善する努力をしました。そう言うのは苦でもなんでもなく、必要だったからやったし、やっていきましたね。

ーーー 感動・プリミティブを伝える作業っていうのは、むしろ新しい楽しみに繋がる作業だったんですね。

そうですね。手段だったんですね、あくまで。そうしたらいつの間にか、人並みには出来るようになったんじゃないかなとは思いますけどね。

ーーー 自分の楽しい事、感動を伝えられた時っていうのは、なんだろう、1つ自分の感動を成仏させるみたいな、落とし前がつくというか。そういう感覚はあります? 
でもいまだに最後の最後のところは伝わっていないだろうなと思っていますか?

完璧に伝わったと思う事はないですね。結局分かんないだろうなってのはあります。…って言いたいだけなのかな??でも分かんない、伝わっていない気がします。でも同僚と話してても「よく分からないです」ってよく言われるんで、多分伝わってないだろうなって(笑)。(隣にいる広報担当の)赤塚だけじゃなくて色んな人に言われるんで、最近は諦めています。
一方で幸せな状況だと思うのは、同僚とは関係値があるんで、汲み取ってくれる。「分かってもらおう」じゃなくて「分かってもらっている」方が良いんだと。そっちの方がよっぽど言葉なんかに頼るより楽チンだって。お互い幸せなんじゃないかなって。

ーーー どれだけ具体的な言葉で今僕が感じている感動を伝える事よりも、大枠で自分の事を知ってもらった方が。

なんでそんな風に考えるの?みたいなことを分かってもらう方が楽ですね。時間も必要だけど、僕はそんな人見知りもしないし、オープンに全部喋って、なんとなく相対として理解してもらった方が楽だなみたいな。

ーーー なるほど面白いですね。言葉っていうのは物事の中央値を取って、効率よく物事を共有するためのツールな訳じゃないですか。そこに対する違和感っていうのがすごくある。だから言葉じゃないコミュニケーション。

空気感とか、身振り手振りとか、表情とか、そういうのもすごく大事だろうなって思います。

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ーーー それは最近思った事なんですか?

いや昔から思っていたんですけど、整理でき始めたというのは最近ですかね。話が戻りますけど、僕は怒りみたいな感情が出すぎても伝わらなかったりするから、何となく概念=簡略化して伝えてもらった方が、分かってもらえるんじゃないかなって思うときがあります。一方で、社内で「平良さんはこういうのが嫌いらしいよ」って話が出るらしいんですよ。それは僕にとっては陰口でも何でもなくて「なんか自分のこと分かってもらっているんだな」って楽なんですよね。逆もあるかもです「こう言ったら喜ぶよ~」って、それもちょっと気持ち悪いけど(笑)何が言いたいかというと、会社としてはすごくウェットな会社だと思います。それを皆に同じように求めているところもあるかもしれないです。あなたはどういう人なの?って。会話以外のところで分かれば楽じゃないですか。言葉でコミュニケーションしなくていいんで。一応テックの会社なのに、変ですよね(笑)。

ーーー まさしくそうですよね。

だからslackとかのチャットツールってそういう関係の質を向上することを阻害するんですよね。でも仕事の効率性はあるんで、要はバランスですよね。

ーーー 具体的にプロフィールとして何が好きな人って知ることが重要ではなくて、その人がその物事を好きになったり嫌いになったりする必然の部分を理解すると。下流に転がっている何かでコミュニケーションするんじゃなくて、一番上流の源泉だけ知れば全てを知れると。

そうですね、ただその時は上流に行くまで時間がかかると思っているんで、時間と質の問題になると思ってます。いきなり上流に行くことが出来る人もいるし、急に懐に入ってきて何こいつみたいな人もいるかもしれないし。一方で時間をかけて上流にたどり着いて、そうだったんだねっていうパターンもあると思うんで、そのバランスは大事にしないといけないんじゃないかなって思ってはいます。

ーーー 社内で上流に登っていくための仕組みっていうのはあるんですか?

どうかな?仕組みはないよね?

(赤塚)そうですね…

ーーー 意識の部分かな?

そういうのを無意識に求めている気はするんですけどね。それぞれが意識している気もしますし。そういう人を採用していると思いますね。あと一方でそういう人ばかりなんで、疎外感を受けてしまうんですよね、そうじゃない人は。結果として辞めちゃっている人も何人かいるんじゃないかと思っています。良い悪いじゃないと思います、これは。会社のカルチャーですね。今、僕も分かりました。言葉に対する不信感があるから、すごく言語外のコミュニケーションを大事にするのかもしれませんね。

ーーー 言葉というすごく具体的なツールではなくて、概念自体を共有するっていう。でもそれって極めてクラウドな考え方というか。ものすごくアナログでもありますよ。でも、今まで人生で感じてきたことを丸ごと共有しましょうっていう事でもあるから。 

そうですね。でもロッキングオンこそそうですよね?渋谷さんの頭の中を皆で理解して。皆自発的に動いている訳ですよね。

ーーー そうなんですよね。だから具体的なコミュニケーションってなくても、人って伝わるんですよね。本当に。だから渋谷陽一が何が好きかとかそんな事別に知らなくても分かるんですよね。絶対これ好きだよなというよりも…

こんな風に考えるだろうなとか?

ーーー そうですそうです。これ絶対こういう風に評価するだろうなとか。それは分かりますよね。

この話をする時にいつもFCバルセロナのサッカーの話をするんですよ。あの人達って同じサッカースタイルをするじゃないですか。アレが時間の話だと思っているんです。だからAチームがあって、違うメンバーが試合出ても、みんなが同じDNAを持っているんです。違う試合でも同じように勝つ。ボールを保持して勝つっていう美学があって、それを徹底的に叩き込む。だから時間がない中でチーム蘇生できている。移籍してくる人もだから同じような事を出来そうな人しか取れないんですよ。

ーーー そうですね。

THECOOも初めの頃は前の会社からいるメンバーでやっているんで、つまり下部組織でずっと一緒だったメンバーなんです。今は新しいメンバーがどんどん入ってきて、それが出来そうな人しか取らないっていうのが、昔から大事にしている1つなんだと思います。

ーーー 出来そうっていうのは、会って感じるものなんですか?

会って感じますね。でも会っても感じられない場合も多々あります。

ーーー そうですよね。採用のキモの部分ですけど。でも会って「この人分かるんじゃないかな」って思ったら僕は外れない気がしますけどね。

うーん、僕はまだ自信がないですね。絶対的な自信はないです。だからこそ僕らは今5人から6人面接して、皆がその同じ感覚で「OK!」ってならないと採用しない。だからすごく採用は大変です。根本のところは同じで、多様性はアウトプットのところを見た時だけ多様なだけで、結構同質な人達の集団じゃないと出来ないし、うちの会社はそういう会社なんだろうなと思います。人種とか性別とかの多様性というではなく。

ーーー でも多様性と同一性って、対立しえるものでもあるんですけど、でも違ういそうな存在できるものですよね。

僕もそう思ってます。多様性への解釈って、皆違うというか、最たる不信感のある言葉ですよね。

ーーー まさに。

多様性って何みたいなところがあって。すごく誤解を生む言葉だなって。すごく嫌いな言葉のうちの1つですね。

ーーー 確かに。使う時にすごく用心する言葉ですよね。

理解しないで使っている人がすごく多いんじゃないかなって。

ーーー 多様性って言葉って、1次元で見るか2次元で見るか3次元で見るかによって全く違う言葉になってしまう。

話戻っちゃうと、楽しい、プリミティブなものが、小柳さんの言葉をかりると、違う層になって来た感じはありますね。それに伴って人並みにやらなきゃいけない事も見つけてきた感じなんですね。それがまだ自分にとっては新しくて楽しいし、難しくて楽しいし、それの繰り返しなんじゃないですかね。だから最初の質問に戻っちゃいますけど、歳を取るっていう事の抵抗感が全くないのはそれですよね。

ーーー そういう事ですね。

常に新しくて何か違うんで。

ーーー そうですね。だから、まとめる訳じゃないんですけど、やっぱりプリミティブなもの、そして理屈になっていないものっていうものが平良さんを動かしているという事は間違い無いんだろうなっていう。それが自分の原体験に常になっていく。それが別に昔からそうだけども今もそうで、それを色んな形で、色んな層で、人と共有できるという新しい楽しみがある。だから歳を取るのが嫌じゃ無いんだろうなって。歳を取ったら取ったで、歳を取ったら取っただけやっぱり、最初の段階だと誰も分からない、とにかくすごいんだよ!って言って「それ分かりません」って言われて終わりだったものが、「そういう事だったら分かります!」っていう言語を介したコミュニケーションが出来てくる時期があって、今は具体的な言語ではなくて、「はいはい、そういうの好きですよね」っていう概念的なものの共有が出来るようになってきている。

やっぱりどんな人も承認欲求があると思うんですけど、僕の承認欲求は分かりにくいんでしょうね。

ーーー そうかもしれないですね。

「結果」に対しての承認が無いので。

ーーー そうでしょうね。だから何だろうな。「人間の把握」でしょうね。人間性の把握というか。すごく業の深い話だと思いますけどね。

そうですか?業が深い(笑)。小柳さんに質問なんですけど、何でそんな僕がロックがそんなに好きなんですかね?

ーーー そこは面白いですよね。だから今の物語でいくと、ロックも理屈はあるんですけど、理屈がないものから生まれる感動であればあるほど、時間をかけて磨き上げていくと、多くの感動を共有させてくれるというかね。そういう原体験なのかなってちょっと思いましたけど。だから、ロックってコンプレックスを救済してくれるものなんですよね。ただそれとも違う聴き方をされて来たんだなって。

そうなんですよ。僕はそうじゃないので、今話していてよく分からなくなって来ましたね。何でこんなに好きなんだろうなって。1つ分かるのは、あの訳の分からない衝動を、これは怒られるかもしれないけど、ロッキングオンを読んでいる時のうんちく感が好きだったんですよ。訳分かんない、なんでこんなうんちくで語ってくれるんだろうな、みたいな。

ーーー そうですね。僕にとってのロックっていうのは、説明してくれるものではあったんですよね。僕が感じているようなフラストレーションとか、なんか言われるとムカつくなコレみたいなものを誰かが感じていて。それって音楽にすると言葉にするとメロディにすると叫びにするとこういう事だよねって。「それだーーー!」みたいな。だから翻訳してくれるものではあったんですよ。ロックっていうものが僕の一歩先にいて、常に。翻訳してくれる。平良さんはきっともっと、いつも未知なるものとしてそこに居てくれるっていうか。

そうですね。何故そんな風に感じているんだろうっていうのがいっぱいあった感じです。世の中を説明してくれている人達。何でチベットの人権問題に対して、ビースティ・ボーイズは反対しているんだろ?て疑問に思ってました。概念としては分かるけど、なんで!って。それをロックを介して表現してくれて、でもそれって全然意味が分からないから、ロッキングオンが文章として理路整然に説明してくれる。

ーーー ポイントは「なんか訳分かんないけど、すげぇ!」ですよね。そこが平良さんのロックなんだろ思うんですよね。訳分かんないものとして登場してくれる。訳分かんないすごいものとして登場してくれる最たるものがロックだったっていう事だったと思うんですよね。その訳分かんなさっていうものを掘っていくと、「訳分かんない」って1点の穴に潜り込むと、そこから世界がバーっと広がるっていう。そういうものなんじゃないかなって思いますけどね。だからロックを知れば知るほど、知らない世界にコネクトしていくという。っていう事なのかなぁ。

そうですね。そう思います。だからNWAとか聞いた時訳分からないじゃないですか。警察をぶっ殺せとか言っているのって。でもきっとひどい迫害を受けているんだろうなって想像はできる。だからこんなひどい言葉で罵っているんだろうな(笑)って、ちょっと分かった気になれるんでしょうね。

ーーー そうですね、追体験出来るという。その世界を。

だからその不条理なことに対する共感とかはできないですよね。

ーーー だからフラストレーションを代弁してもらう手段ではなくて、マイナスをゼロにしてくれるものっていうハードルってあるんですよ、ロックって。でも平良さんってきっと、ゼロを100にしてくれるとか、ゼロを10000にしてくれるとか、そういうものなのかもしれないですよね。

そうかもしれないですね。僕って想像力が圧倒的に足りないんですよ。クリエイションではなく、イマジネーションがないんですよ。だから目を瞑って、経験したことの情景を思い浮かべられないんです。それを一番感じたのって震災の時なんです。テレビで津波の映像が流れて、もちろん悲惨な事だし、あの人達のあの場に居たらどう感じるんだろうって事が分からなすぎるんです。僕は五感で感じることを信頼しているので、自分が感じた事のないものを想像できないんですよ。

ーーー なるほど。

なので現地に行ったんです。怒られちゃいますけど、ボランティアという名をかりて行きました。もちろん一生懸命お手伝いはしました。それで行って初めてイメージが湧いたんです。イメージが湧いたっていうか見たからですね。これはやっぱりすごい事なんだなって。だから想像力が足りないという自覚がすごくある。

ーーー 自前のイマジネーションではなくて、何かを介して。

じゃないと分からないんですよ。だから小説家ってすごいなって思っているんですよ。変態だなって思っているんです。人を殺した事もないのに殺人事件とか書くんですよ。俳優も同じですよね。僕は想像力がなさすぎて、常に概念で捉えようとするんです。抽象度の高いものの方が好きなんですね。

ーーー 面白いなやっぱり。分からないものが好きなんですよ。

そうですね、分からないものが好きですね。自分だと難しいと思っちゃう。

ーーー それでその難しいものの最たるものがロックなんだと思うな。分かんないけどものすごい速さで飛び込んで来るもの。

今、パタゴニアがお客さんなんです。3年位前に「パタゴニアの人はなんでこんなにアウトドアが好きなんだろう」と思ったんです。僕は虫とか自然とかそんな好きじゃないんです。どっちかというネオン街の方が好きなんで(笑)。だから1回山に行ってみようと思ったんです。それで頂上に登ったらすごく分かったんですよ。これはすごい!って。今まで見た景色と全然違うって思いました。それから山好きになったんですよね。未だに虫とか嫌いだし、刺されるの嫌だなって思いながら登ってますけど、頂上はすごい!みたいな。

ーーー なるほど。

行かないと分からない、やらにと分からないと思います。やらないと分からない事に関しては、とりあえずやってみる。

ーーー だから、頂上に登ることはロックだった訳ですよ。登頂はI Am the Resurrection だった訳ですよ。

そこはあるかもしれないですね。イマジネーションが足りないんですよ。人の気持ちが分からない。だから言葉が信じられないんですよ。逆かもしれない。

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ーーー 僕は音楽っていうのは100%歌詞なんですよ。とにかく歌詞なんです。歌詞がピンと来ないとダメなんですね。洋楽も意味は分からないにしても、でもパンチラインは分かるじゃないですか。例えばオアシスにしてもニルヴァーナにしても、パンチラインは分かるわけですよ。そのパンチラインで言っている事が自分にとってピンと来ないと全然ダメなんですよ。今仕事でやっているような事も全部そうですね。パンチラインがピンと来るものは、絶対に自分が良い仕事が出来る。でもそうじゃないものを取り上げなきゃいけない事ももちろんあるので、それに関してはテクニカルな部分をとにかく使う。そんな感じですよね。

今日のパンチラインは何ですか?何かありました?

ーーー 今日は僕は原点を打ち込む作業っていうのと、その原点を打ち込む作業を相対化していく。僕はあるところまでは「理屈のない感動」というのを相対化して人に伝えなくてはいけないというのがフラストレーションだったと思うんですよね、平良さんは。あるところまでは。でもある時に、いや伝える事こそがまた新しいゼロを作る事なんだ、また新しい関係値を作る事なんだと、どこかで一気に開けちゃったという。それが一社目を辞められた時なのかなぁと思って。パンチラインというか、そういう背骨を感じましたけどね。でもやっぱり、何か訳のわからない感動を求めているんだなぁって。まだ自分の中でも名前の付いていない感動を求めているんだなぁって感じはすごくしますけどね。どうですか?ご自分としては。

そうですね。最近ちょっと残念なのは、音楽の話ばかりになってしまいますけど、最近のロックが「う~ん」。昔ほどの感動を覚える音楽が、自分が聞いていないだけなのかもしれないけど、あまり最近ないのが寂しくて仕方ない。

ーーー う~ん。でも必然かもしれないですね、今。ロックをやる意義が変わってきているのは間違い無いんですよ。ロックてものすごく面倒臭いものなんですね。大変なものじゃないですか。バンド組んで、楽器の練習しないといけない。だから今大義名分がないとロックが出来ないんですよ。この時代に、特に海外は。そうすると、訳の分からないものって生まれないんですよね。大義名分のところでロジカルに、その人の中で理屈になっていないとロックってやらないんですよ。

しかもマスに刺さる大義名分がないですからね。 

ーーー そうですそうです。だから時代にコネクトするロックが生まれづらくなっているのは確かなんですよね。だから文字通りサブカルなものになっちゃっているっていう感じはしますよね。しばらく続くでしょうね。

それこそ、エネルギーが足りなくなったとかそういう話にならないと、なかなか出てこないですよね。

ーーー だから当時の僕らが聞いてきたようなロックみたいなものは、もはやHIPHOPなのか、ちょっと前は僕はEDMだったのかな~とか思いますし。だからColdplayが歌っている苦悩よりもAviciiが歌っている苦悩の方が説得力があった訳ですよね。 

そうですね。

ーーー というような。そういう時代になりましたよね。まぁCOLDPLAYがロックっていうのは、また別の話になってきちゃうかもしれませんけど。

難しい....時代なんでしょうね。事足りているんでしょうね。昔に比べて些細な事が大問題になって、それが細分化している。

ーーー 大衆の欲望が指差すメディアってあると思うんですよね。ロックは昔そうだったんですよね。今は大衆が指差しているメディアってもしかしたらアイドルかもしれませんし、もしらしたらその辺にいるミュージシャンが歌っている苦悩よりも、平手が歌っている苦悩の方が説得力がある。

そうですね、親近感がありますよね。

ーーー そういう時代なのかもしれないですよね。昔からそうなのかもしれないですけどね。どんどん変わってきてますよね。でもまぁ一周するとは思いますけど。

なるほど。今日はありがとうございました。めちゃくちゃ振り返る良い機会でした。確かにな。キーワードが出ててくるとなんとなく繋がりますね。

ーーー 振り返るって大事で、でも自分1人で振り返るってなかなか出来ないんで。僕もなるべく振り返るようにするんですよね。喋りながら自分の事も。あまりインタビューされる事もないので。

ですよね(笑)

ーーー たまにされるんですけどね。ロックインジャパンの考え方についてとか、フェスの考え方についてとか、たまに取材を受けるんですけど。なんていうか「そこくすぐってもしょうがないだろ」って思っちゃうんですよ。そこくすぐってもしょうがないから!もう欲しいものあげるから!みたいな。

あはは(笑)

ーーー というんで喋っちゃいますね。こういう事ですよね?って聞いて「そうですそうです」ってなるから、じゃぁこうこうこうこうこうなんで、こう書いてください、みたいな。

期待されている事が分かっちゃう。

ーーー 分かっちゃうんですよ。インタビュアーが今何を考えているかが分かってしまうという。でも面白いですよねやっぱり。インタビューって、いわゆるアーティストじゃなくてもすごく面白いんですよね。

そうなんですか。僕の話になっちゃいますけど、いわゆるアーティストに比べると僕は圧倒的な何かが初めからある訳ではないので。

ーーー デーモンみたいなものですよね。まぁ確かにそれは。ただ一貫性というか、人してのサガというものはあるんですよね。それはどんな人でもあるんですけど。とは思いますけどね。

なかなかネガティブな経験がないんですよね。人生において。

ーーー「ない事にしている」というメタな自分もいると思うんですけどね。difficultって魔法の言葉かもしれないですしね。だってdifficultっていうのは

人によっては困難なのか。苦しくなっちゃうのか。


ーーー だから成功体験なんですよ。difficultを乗り越えていくっていうのが。でもそのdifficultから逃げたいんだけどっていう人も絶対いる訳なんですよね。

結構多いですよね?

ーーー むしろ多いですよね。むしろ皆そのdifficultから出来るだけ逃げて生きたいという。「受験終わったのにまだ勉強するの嫌だ」みたいな。皆そういう訳じゃないですか。でも稀にそこに楽しみを見いだせる人と言いますか、やっぱりいるんだと思うんですよね。だからカミさんとかによく「そんなヘロヘロになるまで仕事して、まだ本読むの?!」みたいな。原稿書いて原稿チェックして帰って来てから、本読むの!?バカなんじゃないの!?みたいな事よく言われますけど。いやいやこのために仕事頑張ってきたんだよ、みたいな。

あはは(笑)

ーーー しかもそこで読むのがよく分かんないけど『フェルマーの最終定理』みたいな意味分かんない本だったりするから(平良爆笑)、また勉強してるの!?みたいな。

物語性とかないもんね(笑)

ーーー そうそう。でも、これが読みたくて今日頑張ったんだよ!みたいな。そういう事はやっぱりありますよね。良い話だな~と思った事が1つあって。結構僕の職業観というものを示している話があって。JTの開発担当のお偉いさんと十何年も前に話したんですけど、1日中新製品のタバコを吸っているんですって。でも、自分のタバコも吸われる人なんですよ。それ訳わかんなくなりません?って聞いたら「いやいや、1日中色んなタバコ吸って、それで、ふー今日も終わったって吸うんだよ。それが良いんじゃん」って。なるほどなーって。なんか自分も救われた感じがあったっすよね。一応音楽が好きで仕事を始めちゃった訳じゃないですか。そうすると、聞いている音楽にも仕事で出会う音楽にも「好きじゃないものがある!どうしよう!」みたいな。というのにちょっと悩んだ時期というか。この不誠実さってなんだ?っていう時期があったんですよね。でもなんかその話聞いて救われたところがあって。

少ないんでしょうね。そういう人は圧倒的に。うちの会社はslackなんか24時間動いてる訳ですよ。24時間は大げさですけど、夜中の2時位まで動いているんですよね。週末は完全にオフにしないと無理って人もいるんですよ。中には。僕は逆なんですよ。slack動いていないと不安なんですよ。何にも今動いてないなって、週末とか不安になっちゃって。だから山の上行くと不安なんですよ、電波がないから。皆「デジタルデトックスしたい」とかいうんですけど、僕は全然。頭の中にslack入れたい位ですよ。それ位仕事が好きですね。

ーーー そうですね。楽しいんでしょうね。

そう、楽しいんで苦じゃないんですよね。でもまぁ皆が皆そうではないから。

ーーー 皆が皆そうではないですもんね、押し付けてはねダメですよね。 

そう、押し付けちゃダメだからっていう事も分かっているんで、なんかそういう人の方が少ないんだなって。

ーーー 少ないでしょうね。僕もメタに見られるようになったんですよね。好きじゃない音楽を聞いている時間って一体なんなんだって思ったんですけど、でも、メタに見ると、でも音楽じゃん!みたいな。幸せな事じゃんって。そういう自分もやっぱり居て(笑)

メタに見るってよく聞きますね。ロッキングオンでは。わ~!ロッキングオン用語だなって、さっき聞いていて思いました(笑)

ーーー 衝動とかもやっぱり。衝動、必然性、物語…メタっていうのも最近よく使いますね。そうなんですよ。

どんな風に文章になるか、きっと今日のね、どうしようって(笑)

ーーー大変ですよね。

話があっちこっち行ったじゃないですか。

ーーー でもこれは、あっちこっち行ったままの方が面白いかもしれないですよ。まぁ纏める事も出来ますけどね、繋げる事も出来るんで。まぁ起こし頂いて、僕の方でこことここは繋げた方がいいなとかっていうのはディレクション出来るんで。あとはどういうコンテンツにするか、どういうコピーにするか。商品名をどうするかみたいな事だと思うんで。まぁ感動を巡る話って感じだと思いますけどね。今日は。感動を巡る長い物語を、感動するという事を巡る話っていうのが、なんとなくのテーマでしたけど。そこから逃げないようにしようとはずっと思っていました。

なるほどね。ありがとうございました。

ーーー いえいえ、とんでもない。

めっちゃくちゃ楽しかったです。ありがとうございました!

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