熱狂と距離感_3

寂しさを埋める"なう感"と"コミュニケーション可能性" / 対談 with 吉田尚記 # 3

THECOO 代表 平良 真人( @TylerMasato ) の対談シリーズ。
今回のお相手も引き続きニッポン放送アナウンサーの吉田尚記さん。

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<プロフィール>
吉田 尚記 (よしだ ひさのり) ( @yoshidahisanori
ニッポン放送アナウンサー
現在は毎週月曜日から木曜日深夜24時から放送中のワイド番組「 ミューコミプラス 」を担当中。
放送業界で一二を争う"オタク"としても有名で、ニコ生やテレビ番組への出演、マンガ大賞の発起など、ラジオにとどまらない活動を行っている。
著書『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』(太田出版)は累計13万部を突破している。

” エンターテインメントって少し空恐ろしいものじゃないと熱狂できないんだと思うんですね ”
これまで 2 回に亘ってアイドルの魅力とアイドルビジネスについて伺ってきました。( # 1 / # 2
最終回はコミュニティの育て方について深掘りしていきます。

実際のコミュニケーションより、コミュニケーションの可能性が重要

平良真人( 以下、平良):
コミュニティの話もしたいのですが、「 ラジオは寂しさを埋める 」に僕もすごく共感していて、ラジオってマスに向けたメディアなのにも関わらず 1 対 1 のコミュニケーションのように感じるなと思うんですが、パーソナリティとして寂しさを埋めるという観点から気にされていることってありますか?

吉田尚記氏(以下、吉田氏):
2 つあって、1 つは「 なう感  」。今この瞬間をその人と共有できることが大事だと思っています。

なんか寂しいなと思った時に、映画作品を観る行為はクリエイティブ体験としてはいいかもしれないですけど、昔の話を見ている孤独感は残るんですよね。でも、ラジオで「 今日すっごく寒くなったよね 」とか「 いくらなんでも巨人 4 連敗はないでしょ? 」とか、言われるとその瞬間が共有できる。それが寂しさを埋める為には重要なことな気がしています。

もう 1 つは、聞く耳を持ってくれない人と一緒にいると 1 番寂しいじゃないですか。だから、僕は聞く耳持っているよってことを伝えたいと思っています。
可能な限りTwitter も読みたい。本当はずっと読んでいたいぐらい。メールでもいいんですけど、自分の意見がここには届くんだなって思う、コミュニケーション出来る空間だと思えることが大事かなと。

平良:リスナーの声を全部は拾いきれなくても、コミュニケーションの可能性を感じてもらうことが大事になるってことですよね。

吉田氏:
ラジオを聞いている人の中でメールを出したり Twitter に投稿する人は 100 人に 1 人くらいだと思うんですよ。でも、やりたいと思ったらできる環境か、絶対できない環境なのかの差は物凄く大きい。だから実際のコミュニケーションではなくて、コミュニケーションの可能性が重要ですね。

平良:そこに一緒に居る感覚ですね。

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ログイン状況を教えることは” ここに居ない ”と伝えること

吉田氏:
SNS で表示される最終のログイン時間って” 今ここにいませんよ ”という不在のメッセージにもなる。たとえば mixi では「 最終ログインは5分以内 」って表示されてましたけど、これって” 今はいませんよ ”というメッセージになっちゃってますよね。 ログイン状況ってコミュニケーションの可能性を無意識に提示しているんですよね。
それに対して、Twitter は「 なう感 」をすごい主張してくる。実在性をめちゃくちゃ主張していますよね。

一方で LINE の既読は、震災の直後に安否が確認出来るよう追加された機能だったんですけど、これがコミュニケーション可能性の新たな問題を提示していて、既読をつけたのに返事をしなかったら怒られたりもするわけじゃないですか。つまりコミュニケーション可能性の編集をユーザーに委ねたんですよね。既読スルーしたら、「 コミュニケーション不可能 」。何らかの返事を返してくれたら「 コミュニケーション可能だよ 」というサイン。
今までシステム側が設計していたコミュニケーションの可能性が、LINE ではユーザー本人に委ねられているんです。

平良:
その設計はとても難しくて、fanicon はアイコンがオンラインの時だけ通知がいく仕組みにしているんですよ。
” 今、居ますよ ”と伝えることでそこに一緒にいる感覚を伝えようとしていたわけですが、それは同時に” 今、居ないですよ ”とも伝えてしまっている。不可能性を示しちゃっているってことですよね。

吉田氏:
でもそれはそれでもいいのかもしれないですよね。
先程のアイドルの話でもしたように、距離感の面白味が出るわけですからその距離感をどう編集するかは本人にお任せする。
問題点があるとすれば、本人任せだと使い方がうまい人とそうじゃない人で効果が分かれてしまうことですよね。

平良:全然違いますね。そこはコミュニティの距離感のノウハウがもっともっと必要になってくるのかなと思っています。

吉田氏:
リーダーがいるコミュニティはコミュニケーション可能性をどう編集するかが本当に難しいと思いますね。グループであれば、本命の子はいないけど 2 人目の子がいるからそれでもいいいかなってフォローの仕方があるので。ホストクラブやキャバクラとかもそうですよね。僕はハマったことはないですけども(笑)。

平良:僕もないです(笑)。

吉田氏:
ただもう今はツールがありすぎてコミュニケーション可能性をサービス側がどうこうしようという時代じゃなくなってきてはいますよね。
例えばツイキャスでも YouTube ライブでも、機能的には大差は無いですが、 どちらを選ぶかで意味合いが違います。それをそもそもユーザー本人が選んで配信しているわけですから。

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コミュニティを育てるためにはディレクターが不可欠

平良:
コミュニティサービスを作っている我々としては、その人に委ねられた部分を出来る限り誰でもできるようにするにはどうしたら良いんだろうなと、そこは大きな課題ですね。

吉田氏:
コミュニケーション可能性の編集のノウハウがまだラジオ局にはギリギリあるのかなって感じはしていて、そのノウハウを蓄積できないと、コミュニティサービスは先に進めないんじゃないかなって気はするんですよね。
恐らくfanicon なりの文法、ラジオなりの文法がやっぱりあるんですよ。

ラジオだって本当はずっと演説をしていてもいいはずですけど、それをやっても意味がないとユーザー側も喋る側や作る側も分かっている。ハガキコーナーやリアルタイムのやりとりがあった方がいい。これは一つの文法ですよね。fanicon さんも例えばコミュニティはこのぐらいの頻度でログインした方が良い、それはバラバラなのか毎日同じ時間が良いのかとか、その辺りのノウハウが寧ろデジタルだと数字でPDCAを回せるので、そこに焦点を当てて分析してみると何か見えてくるかもしれないですよね。

平良:
少しずつコミュニティの使い方が分かれていて、うまくいくパターンが見えてきてはいるのですが、それをどうサービスとして開発に落とし込んでくかまではまだまだこれからかなと。

吉田氏:
自動的にできたら類似サービスより圧倒的に先にいけるようになると思いますけど、まずはディレクターを育てないといけないってことだと思うんですよね。

平良:
仰る通りですね。僕らはカスタマーサクセスチームと呼んでいるんですけど、どうしたらコミュニティが盛り上がるのかを研究しながら、ノウハウを溜めていますね。

吉田さんともミューコミプラスの企画で『 29時完全撤収 』というバーチャルアイドルを一緒にやらせていただいて、それもめちゃくちゃ勉強させていただいていますね。

▶︎『29時完全撤収』のコミュニティ

吉田氏:
『 29時完全撤収 』はバーチャルアイドルのはずなのに、実在の人物が出てきちゃいましたからね。

平良:楽曲まで出来ましたよね(笑)。

吉田氏:ONIGAWARAがまた最高の曲を作ってくれましたよね。

平良:始まった時には予想もしていない展開になって、もうめちゃくちゃ面白いです。

吉田氏:
楽しいってだけでもう丸儲けなので、あとは大人としてコストは考えながら続けていければ良いのかなと思いますね。

平良:今後の展開も楽しみです!引き続きよろしくお願いいたします。

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< 過去の記事 >
アイドルとは距離感のゲーム  吉田尚記氏 対談 # 1
エンターテインメントは空恐ろしくないと熱狂できない 吉田尚記氏 対談 # 2


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