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投資先は人間力で決める / 対談 with 寺嶋博礼 # 1

THECOO 株式会社代表の 平良 真人( @TylerMasato ) の対談シリーズ。今回のお相手はジュピターエンタテインメント株式会社の代表取締役社長である寺嶋博礼さん。

コンテンツが作られ私たちに届けられる為に必要不可欠なお金。エンターテインメントの世界を裏側で支えてきた寺嶋さんと、エンターテインメントにおけるファイナンスを紐解きます。

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寺嶋博礼(てらしまひろのり)
ジュピターエンタテインメント株式会社 代表取締役社長
1991年、日本債券信用銀行(現 あおぞら銀行)に入行。資本市場業務やデリバティブ業務を経験後、コンテンツおよび店舗投資ファンド業務を担当し、数々のヒット作品に携わる。
2004年、ロハスインターナショナル専務取締役COOとして、「スタジオ・ヨギー」にてヨガ・ビジネスを展開し、ヨガ・ブームを仕掛ける。
2006年、映画会社アスミック・エース エンタテインメント(現 アスミック・エース)に移り、執行役員として、映画、アニメなどを中心に映像ビジネス全般に従事。
2012年、アスミック・エースのJ:COMグループ入りに伴い、CS映画専門チャンネル ムービープラスのジェネラルマネージャーに就任。現在、ジュピターエンタテインメント及びチャンネル銀河 代表取締役社長として、ムービープラス、LaLa TV、チャンネル銀河 3chのチャンネル経営に携わる。

エンタメのファイナンス手段を広げたプロジェクト型投資

平良真人( 以下、平良 ):
寺嶋さんは、以前は金融業界にいらっしゃったとお伺いしたのですが、もともとエンターテインメントがお好きだったんですか?

寺嶋博礼氏( 以下、寺嶋氏 ):
中学・高校時代から、音楽が 1 番好きでした。イエロー・マジック・オーケストラが好きだったこともあり、カルチャーと結びつきの強い音楽をよく聞いていて、そこから様々なジャンルの洋楽を聞くようになりました。
イギリスのロックが好きで、ラジオで音楽番組をよく聴いていました。80年代は、ザ・スミスやニューオーダー、90年代は、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインやレディオヘッドなどをよく聴いていました。

平良:そうなんですね!実際にイギリスに行かれたりもしていたのですか?

寺嶋氏:
レコードの買い付けに 1 人で行きました。ノッティングヒルのポートベロー・ロード地区にある中古レコード店 MUSIC & VIDEO EXCHANGE に行ったり、ラフ・トレード・ショップ に行ったり。

平良:僕も全く同じようなことをしていました!本当に音楽が好きだったんですね。

寺嶋氏:
好きですね。高校 1 年の時に東京の友達にレコード屋さんに連れて行ってもらったら、面白いレコードがたくさん見つかって。それで、大学は東京に行くと決めました。

平良:そこから金融業界に就職された理由はなんだったんですか?

寺嶋氏:
いくら音楽が好きでも自分の知識で音楽業界に行くのは難しいかなと思って、趣味と仕事は分けようと思いました。ちょうど経済学部で金融の勉強をしていたので、仕事で稼いで趣味にお金を使いたいなと。

平良:そういうスタートから結果としてエンタメ業界に関わられていくわけですよね?

寺嶋氏:
そうですね。銀行に入ってからは資本市場部、事業法人の営業担当、デリバティブのカスタマーディーラーと経験するのですが、そのディーラーのタイミングで銀行が国有化し、ソフトバンク・東京海上・オリックスが新たな株主になったんです。それと同時に孫さんの指示で、シリコンバレーにあるシリコンバレーバンクと業務提携をすることになりました。
僕はそのメンバーに選ばれたので、シリコンバレーと東京を行ったり来たりしていたのですが、ベンチャー企業のファイナンスをするとなると、その事業についての理解がベンチャー企業の経営陣と同じレベルもしくは、それ以上じゃないとファイナンスってできないなと思ったんです。自分が勝負できるジャンルを極めようと考えた時に、やっぱり自分にとってはエンタメだなと思いました。その後、業務提携終了後に、ある程度好きなことができる環境が整ったので、エンターテインメントのファンドビジネスを始めました。

平良:それは、いつ頃ですか?

寺嶋氏:
2000 年頃ですね。ちょうど Google が頭角を現し始めたくらいの時期でした。ゲームなどの投資をしていたファンドを拡張し、50 億円規模のファンドを創設し、映画やアニメ、音楽などにもプロジェクト型で投資をしていきました。

平良:ファンド時代の作品で言えるものがあれば、どんな作品に投資されたか教えてもらえますか?

寺嶋氏:
1 番ヒットした作品は、映画の『 呪怨 』シリーズかなと思います。ハリウッドでリメイクもされましたし。

平良:そうなんですね!コンテンツのファイナンスってどのようにされていたんですか?

寺嶋氏:
当時はハリウッドに比べて、エンターテインメントにおけるファイナンスの手段がなく、自己資金でやらなきゃいけないような世界だったんですね。
ボラティリティーが大きくリスクが高いビジネスはローンには向かないので、投資的なアプローチをしたいと思いスタートしたのが、プロジェクト投資というスキームだったんです。

ベンチャー企業が、会社のエクイティで達成するにはイグジットとしては、どこかに買収されるか、株式公開するしかない。一方で必ずしも株式公開を目指さない企業にどうファイナンスをするか考えた時に、フランチャイズビジネスのように、ある程度のビジネスモデルができた後に、それを拡張する店舗単位のプロジェクト投資スキームと、純投資もありつつ、ミドルリスク=ミドルリターンの投資スキームを開発したりとバリエーションを作っていて。それをエンターテインメントビジネスにも活用して、店舗ビジネスとエンターテインメントビジネスのポートフォリオを組んで、全体のマネジメントをするという形でファイナンスをしていました。

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人を信じてリスクを取る

平良:ファイナンスの考え方からすると、利益をあげないといけないと思うので、作品をどのように選び、どうポートフォリオ化していくのかがとても気になります。

寺嶋氏:
それはやっぱり人脈ですね。基本的にはベンチャー投資と一緒なのですが、エンターテインメント業界のファイナンスの機会に関して言えば、2 通りあって、制作者側から案件が来るものと、こちら側から投資させて欲しいとお願いするパターンがあるんですね。そうした時に、向こうから来る案件の方がやっぱり厳しいことが多い。だから、そういう意味でも人脈を築いて、メリットを感じてもらい一緒にやりたいと思ってもらうことが 1 番大事でした。

平良:やはり人なんですね。

寺嶋氏:
人ですね。特に日本映画の場合は、プロデューサーのトラックレコードと考え方と実力。そういったものを信じて、最終的に投資していました。

平良:その場合は、この人にいくら投資したら、MAXはいくらになって、最悪これくらいかなと試算していく感じなんですか?

寺嶋氏:
そうですね。プロデューサーに加えて、特に映画の場合は、脚本がビジネスプランみたいなものなので、脚本とキャスティングも含めてジャッジメントしていました。あとは出資者とどう組んで事業を展開するかみたいな所と、過去のトラックレコードをヒアリングして、大体の収益幅の想定をしていきます。

投資を決定するにあたっては、リスクを取らなきゃいけない部分と、ロジックの部分があって、もちろんシミュレーションする為のデータが必要になりますが、最終的に何割かは、リスクを取って投資しなきゃいけない部分もあるので、上手くバランスを取りながらやっていました。

平良:マーケットの需要も含めて分析したりもするんですか?例えば『 呪怨 』の場合だと、それ以前の『リング』のヒットから考察するとか。

寺嶋氏:
そうですね。トラックレコードから考えて、ベストケースとワーストケースの予想はします。過去の似たような作品の劇場公開後のレンタルビデオの出方や、DVDの売れ行き、テレビ放送の展開等から一定の方程式を作ったりもしていました。

平良:そうなんですね。僕もスタートアップで資金調達する側なので、自分達が信じるビジネスプランをリスクも含めて説明するのですが、コンテンツを作る人たちがその作品が売れる過程をどうロジカルに説明するのかは興味深いですね。

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投資目線で見るヒットの法則とは


平良:因みに、言いにくい話かとは思うのですが、ハズレることもあるのですか?

寺嶋氏:
最初のうちはやはり全然わからなくて、アニメ作品と邦画と洋画それぞれリスクの取り方が違ったり、当初の話と実際に結果として戻ってくる内容の相違があったりして、最初の 2 作品ぐらいは結果が厳しかったですね。3 作目4 作目からだんだんとわかってきて、大体想定の中に入ってくる感じになりました。

平良:これまで色々な作品に関わって来られた中で、寺嶋さんなりのヒット作品の作り方ってどんな風に考えていますか?

寺嶋氏:
やはり人が大事かなと思っています。
過去の実績などから逆算して作るケースは、大体マーケットは見えるんですけど、八掛け・七掛けで収まってしまって大ヒットは生まれづらいんです。想定内のものしか生まれない。それに比べて、ドラマのクリエイターが映画を作るとか、元の素養があるものを他に展開し、新しいものを生み出そうとする時の方が爆発力があったりします。なので、新しいものを見つけられる人や、面白いことへのチャレンジができる人と組みたいなと思っていました。

制作者自身が面白がってやる企画の方が、熱量を生んで、結果的に人を巻き込んで大きくなるケースが多いと感じていて。結局のところ、プロデューサーやディレクターの人間力や面白さ、今で言うと偏愛な部分があるとフックになって大ヒットが生まれたり、新しい道を切り開いていくパターンが多い気はします。

平良:なるほど。


つづく。



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