
ライブって何で大事なんだ? / 連載 : タイライム
先日、the peggiesのライブに行ってきた。
熱の入った演奏、オーディエンスとのコール&レスポンス、ほんわかしたMC、2回のアンコール… 彼女達のあたたかな愛を感じるライブだった。
正直な話し、事前に数曲しか聞いていなく、知らない曲がほとんどだったのだけども、最後には思いっきりファンになっていた。
帰り道、ライブで演奏していた曲を何度も何度も聴いて、家に着くまでライブの興奮は続いていた。
翌日、この感動を誰かに伝えたくなって、SNS でも、社内のコミュニケーションツールでも、the peggies について熱弁していた。
やはり、ライブの力は凄まじい。これほどまでにオーディエンスを惹きつける。
以前に石原さんとの対談(記事はこちら)でも話題になっていたけれども、改めてライブの影響力を感じた経験だった。
そう考えると、アーティスト側にとっても、ライブはファンになってもらう大切な機会になると思う。
the peggies のケースは、知人にライブに誘われたところからはじまった。それまであまり知らなかったのに、ライブに魅了され、アーティストの世界観を好きになって、バンドの曲も好きになって、その結果、友人にも共有する。
このステップを抽象化すると・・・
1. 知る
2. 興味持つ
3. 体験する
4. 共感する
5. ファンになる
6. 共有する
こんな感じだろうか。
他の例として、私が最も好きなバンドである Radiohead の場合はどうか?
中学生の頃から毎月購読していたロッキングオンのレビューで存在は知っていた。その後、たまたま PV を見てかっこいいなぁと思い、CDを聞くようになって、更にかっこいいなぁと思うようになった。そして、初来日の時、ライブに行って衝撃を受けてしまった。そこからは、雑誌で Radiohead に間するありとあらゆることを調べたし、歌詞をきちんと理解しようとした。来日するたびに全てのライブに行き、熱狂的なファンになっていった。もちろん、音楽の話しの度に、Radiohead 好きと主張しているし、友達にもたくさん勧めてきた。
このステップを抽象化すると・・・
1. 知る
2. 興味持つ
3. 調べる
4. 体験する
5. 共感する
6. ファンになる
7. 共有する
こんな感じになる。
Radiohead の場合は、the peggies のケースと比較すると「 3.調べる 」が 1 ステップ多い。
インターネット普及前後の違いはあると思いつつ、この違いはどこから来るのか?それは、ライブの有無だ。
熱心な音楽ファンは、「 新しい良いバンドやアーティストはいないかなぁ? 」といつもアンテナを高くしている。 1〜3 までのステップを常にしてると言っても良いだろう。しかし、それがなくても、タイミングよくライブにいけると、一気に「 5.共感する 」可能性が高くなる。なぜなら、アーティストが伝えたい世界観全部を肌で感じることができるからだ。
「 ライブ行くと一気にファンになる 」のだとすると、どうやってライブに行こうと思ってもらうか?、またライブに行く機会をどう作るか? がアーティストにとってはとても大事になってくる。
上記データにある通りライブ会場不足問題から復調して、音楽ライブ市場は成長している。めちゃくちゃ感覚的だけども、アーティストの思い、もっというと、魂の叫びは画面を通してだと完璧には伝わりきらない。仮にどれだけテクノロジーが進化して、VRでライブ体験ができたとしても、きっと伝わらないだろう。だからこそ、アーティストはライブに足を運んでもらうようにしないといけない。
そう心から思っていた。
宇多田ヒカルの 「 Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018 」のライブを Netflix でみるまでは。
12 年間ライブをしていなかった彼女の、デビュー 20 周年 同日に行われたこのライブでは、映像クオリティーが高く、宇多田ヒカルという国民的アーティストの歩んできた道のりを一緒に共有できた。
ライブの間、ファンや関係者・家族への感謝に溢れ、その思いが歌に乗ってスクリーンの向こうからも伝わって来る。2 時間半もあるライブをあっという間に感じさせ、「 Goodbye Happiness 」で感動的なフィナーレを迎える。
こんな心が震える体験が、スマホで、家で、どこでも簡単にできる時代に感謝しかなかった。この日から私は、『 テクノロジー × ライブ 』が新しい感動を届けることのできる未来が、もうすぐそこまで来ていると確信した。
平良真人( @TylerMasato )
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